過去一過酷!?ヒルクライムの猛者が集まった峠道ZERO開催しました!
2024年11月24日(日) 6:00
雲間から朝日がのぞいている。
天気予報通り日中は晴れるだろう。
気温は7℃前後。数日前に感じた朝の冷え込みと比べたら「そんなに寒くない」朝だった。
7:00
早朝からお客様がTHE BASEに集まってくる。「峠道ZERO」の参加者4名だ。
今年THE BASEでは「峠道2024」と称し、スタッフがセレクトした「関東近辺の30個の峠」が記載されたスタンプカードを配布。
定められた峠をクリアし、THE BASEに来店するとスタンプが押印されるという、いわゆる「スタンプラリー」形式のイベントを行っていた。
この日集まったのはその「峠道2024」で30全ての峠をクリアしたヒルクライム大好きサイクリストの面々というわけだ。
来店したらまずは出走サインならぬ「イベント参加同意書」へのサインを行う。
このあたりは普段からTHE BASEのイベントへ参加いただいている方が多いこともあり、普段通りの光景だ。
参加者には事前にこの日行われる「峠道ZERO」のコースデータを送っていた。
簡単にコースプロフィールを紹介すると、走行距離は216km、そして獲得標高4,712m。
THE BASEをスタートし和田峠を表から登り、裏へ下る。そこから鶴峠を経由して小菅方面へ。丹波山から柳沢峠へ向かい、山梨側へ下った後はフルーツラインを通って笹子峠を越える。そこからTHE BASEのある八王子方面へ向かうわけだが、最後におまけ程度に裏大垂水峠まで用意してある。
ある程度峠を走るサイクリストであれば恐らく100km、1000mUPというのが「のぼりがキツいか否か」の一つの基準になっているのではないだろうか?
今回は単純に100km換算で2000mUPだから、このルートが伝えられた時点でどれほど過酷なのか、参加者はみな走る前から分かっているのである。
ヒルクライムや峠が苦手だったり嫌いな人からすると、到底考えられないだろう。
それなのに、どうしてだろう?
出発前、参加される皆さんは子どものように楽しそうに見える。
7:30
コースの確認や補給のために止まるポイントの伝達、その他注意事項の共有など朝のブリーフィングが終わったらいよいよ出発だ。
THE BASEではおなじみ、出発前の集合写真撮影は今回も行った。やはりみんな笑顔。
今回の峠道ZEROに関しては距離や時間も長いため、サポートカーが帯同することになったが
一つ目の峠である「和田峠」までは引率スタッフを含めた参加者とは別行動となった。
サポートカーは和田峠を下る側、通称「裏和田」の途中まで先回りして待機。
和田峠通過時間は8時半ごろを予定していたので、気温も低く、下りが寒い場合はここでジャケットなどの上着を渡す予定だった。
結局登りで熱くなったのだろう。全員がそのまま下って行った。
カメラを向けるとピースサイン。まだまだ余裕が感じられる。
待機中に見えた裏和田から見えたのは真っ白になった冬の富士山。少し雲があるものの、朝早く空気も澄んでいたので綺麗に見えた。
紅葉シーズン真っただ中で、この日はどこを切り取っても絵になるような景色を見続けることになった。
和田峠を下り終えたところで一旦ストップ。
峠の頂上や下り終わったポイントなどで一旦全員が集まるようにしていたからだ。
この日は5つの峠を越えることになるが、ヒルクライムはどうしても走力に差が出る。
この時間差を埋めるためにストップするポイントを事前に設定している。
実力伯仲であれば良いが、「峠道ZERO」は他人のペースに合わせるほど余裕のあるコースではないし、各自マイペースで行くことが結果的に全体としては速く進むことが出来る。
またこのわずかなストップの間に補給も行う。
事前に用意したり、参加者が各自持ち込んだ補給食等はサポートカーに積んであるため、このタイミングで食べ、ボトルには飲み物を足し、さらにジャージのバックポケットにはこの後走行しながら摂取するための補給食を詰め込む。
一応昼食として1か所だけ時間を取って休憩するポイントを決めてはいるが、ほとんどの休憩はこのサポートカーで対応するスタイルだ。
一つ目の和田峠を難なくクリアした面々は、次の鶴峠に向かって再出発していく。
紅葉時期の週末ではあるが、このあたりから自動車の交通量はかなり少なくなり、走りやすくなる。
まだまだ序盤。先は長いとわかっていながらもワクワクが止まらないのか、なぜか所々でペースアップが起きたりもする。
サポートしている側からすると「やめておけばいいのに」と思う。
この時点で全行程の4分の1ほどだろうか、既に2つのパック(グループ)に分かれていた。
天気が良くて本当に良かった。
一日中紅葉が楽しめるという意味では、八王子近辺の紅葉スポットである「高尾山」に行くより何倍も紅葉を楽しめたのではないかと思えるほどだ。
走っている4名にそんな余裕があったかどうかはわからないが。
鶴峠の頂上直前で一旦ストップ。前方グループで走っていた参加者は終始笑顔で談笑する余裕がある。
今年は初めてのMt.富士ヒルクライム(通称:富士ヒル)出場に向けて、三時台に起きては早朝練習などを行い結果も出してきた参加者の一人。この方はヒルクライムにここまで本格的に挑戦したのは初めてだったようだが、我々スタッフが端から見ていても明らかに強くなった1年だった。富士ヒルが終わってからは、もともと好きだったグルメライドなどのゆるポタを楽しんでいるようだが、峠道ZEROのために今回もしっかり調整をしてきたようで、富士ヒルの時と同じまで体重を落とし、調子も上げてきたとのこと。
一方で、この時点で既に脚を攣りながら走っている参加者もいた。
聞くと、峠道スタンプを集めるために走り回っていた夏とは違い、仕事が忙しいこともありここ2か月は全くと言っていいほどロードバイクに乗れていなかったよう。夏に一緒に牧馬峠などを走った際には談笑しながら余裕で登っていたのが印象的で、調子が良ければ速いことを知っている方だけに、今回のコースが非常に厳しいことを改めて感じた。
大丈夫か声を掛けると、「この苦しいのが最高に楽しい!」との返答。やはり頭のネジが少し外れているようだ(誉め言葉)。
全員揃って、補給やトイレを済ませたら再出発。
針葉樹が多く、自転車で走りながら上を見ると木々の間からガードレールが見える。
見えてしまったが最後、「あぁ、あそこまで登らないといけないのか」と精神的なダメージを受けることになるのが一般的なサイクリストだが、彼らはどうなのだろうか?
常に補給をしながら進む。
距離200km以上、獲得標高4000m以上であれば、約7000kcalほどの補給が必要になる。
これは朝食や昼食を除いても走りながら数千キロカロリーを摂取する必要があるということだ。
米やパンのような固形の食べ物、ようかんなど小さいが効率よくカロリー摂取ができるもの、これらは食欲や体力のある前半に取ることが多く、ジェルの様なものは後半でも食べたり飲んだりしやすいため、ライド途中から摂取していくのが定石と言われている。
またボトルからの補給も大事。
水にパウダー状のカロリーのあるもの、いわゆるスポーツドリンクなどを混ぜておくのは当たり前。
最近ではパラチノースを入れるケースが多い。
砂糖・ブドウ糖などと比較して吸収がゆっくりで持続性エネルギーとなるのが特徴。
後半までパフォーマンスが維持できることから持久系競技をされる方には常識となりつつある。
走力だけでなく、補給のノウハウや経験も非常に重要であり、それらが結果的に速く・遠くまで走る際に大きく影響するところが自転車の面白いところの一つでもある。
この後、一行は丹波山で一度ストップし、そこから柳沢峠を目指す。
引率スタッフにも少しずつ疲れが見え始めたように思えたが、カメラを向けるとまだまだ笑顔の参加者。
むしろ序盤よりも、このあたりから楽しくなってきたような表情だ。
ヒルクライム好きな方には有名なTHE PEAKSを毎年楽しんでいたり、ブルべにも挑戦していて、次なる目標は2027年のパリ-ブレスト-パリを走ることだそう。
柳沢峠までの道中。なかなか良いペースで登っている二人組を発見。
よく見たらこの二人もTHE BASEのイベントによく参加していただいているお客様だった。
今年の峠道はすべてクリアできなかったけど、このコースは走ってみたかったという生粋の変態サイクリスト。どこからかこの日走るルートを聞きつけたようで二人で走っていたよう。2025年こそ正式に峠道ZEROへ参加してほしい。
柳沢峠までは長かった。しかもその道中のほとんどが登っており、峠道ZEROの中で最もきつい区間だった。
この柳沢峠の頂上で休憩を兼ねて昼食を取ることにした。暖かい食事が彼らには染み渡ったことだと思う。
日中は15℃程度まで気温が上がる予報だったが、ここ柳沢峠頂上付近は3℃だった。
タイムスケジュール的にもあまり長居はできないが、ここから長い下りがあることも含めて一旦身体を温めることが重要だった。
「ライド中の食事はカロリー」と名言?を残しながらカレーとうどんを食べる参加者。
この方もとにかくヒルクライムが大好き。
今回のルートを伝えた際も「え?5000mUPぐらいが良い~」というほど。
さらに奥様もサイクリストで夫婦そろって峠に行くなど生粋のクライマー気質。
他の方も大盛メニューや食後にデザートを頼むなどしっかりと補給している。
補給しないと走れないことを知っている彼らからすれば当然のことではあるが、それはつまり胃腸も丈夫だということでもある。
失礼を承知で言えば、参加者の方々はほとんどが30代~50代と若いとは言えないがしっかり食べることが出来る。非常に重要な要素だと思う。
ここから先は一気に山梨側に下り、フルーツラインを通って笹子峠へ向かう。
と同時に、何とかここまで走ってきたが、遂に脚が完全に無くなった参加者を1名サポートカーに回収することとなった。
ここまで距離にして約100km、獲得標高は3000mを超えていた。
笹子峠頂上での記念撮影。
さすがに疲れが見えてきたか。
さらにここからは時間との勝負。この時点で時刻は午後5時。
あっという間に真っ暗になるため、急いで下る。
そこからは国道20号線をひた走り、大垂水峠を越えて高尾側へ下る。
サポートカーは夕方の渋滞に巻き込まれ参加者を追いかける形になった。
かなり良いペースで走っているのだろう、渋滞を抜けても一向に参加者グループが見えてこない。
大垂水峠あたりで追いつくだろうと思っていたが、結局大垂水峠頂上までには追い付かなかった。
ここまで200km近く走ってきたとは思えないペースで走っていたようだ。
高尾にあるコンビニでようやく合流できた。
ここが最後のストップポイント。とはいえ「もうゴールしたようなもの。」そんな表情の参加者たち。
「ではTHE BASEで会いましょう」といってゴールへ向かった。
店舗へ帰着後の記念撮影。ポーズをリクエストすると全力で応えてくれた。
達成感もあるのだろう、「とにかく楽しかった」ということが表情からあふれ出ているのが印象的だった。
若干帰着時間が遅れたが、けがやトラブルもなく終わった峠道ZERO。
30の峠をクリアし、参加していただいた皆様ありがとうございました!
峠道は2025年も実施する予定で現在計画を進めています。
峠はそれぞれの楽しみ方があります。
速く走りたいという方もいれば、どれだけ登ったか獲得標高を楽しみにしている方、写真を撮ったり登ったあとのご褒美や食事を楽しみにしている方などなど。どれが正解ということはありません。
是非2025年も皆様なりの楽しみ方で「峠道2025」にご参加いただけたら嬉しく思います。
それでは「峠道2025」発表までお楽しみに!