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MADE IN JAPAN 三ヶ島ペタルの工場見学に行ってきました

今回は先日行われた「三ヶ島ペタルの工場見学」の様子をお届けします。
本来はライドイベントも行う予定でしたが当日はあいにくの雨。残念ながらライドは中止。
工場見学のみとなりましたが「モノづくり」に興味のあるお客様にご参加いただきました。

三ヶ島製作所とは

今回訪れた「三ヶ島製作所」は自転車ペタル及同付属品の製造販売を事業とされています。
近年ロードバイクに乗り始められた方には、それほど馴染みが無いかも知れませんが、ツーリングバイクやピスト、ミニベロなどに乗られている方は今でも「ペダルと言えば三ヶ島」と言うほど、ペダルメーカーの代名詞といえるブランドです。

今なお続く国内生産とその理由

さらに三ヶ島ペタルと言えば「国内生産」が最も大きな特徴です。
自転車部品の中で現在も国内で生産をしているメーカーはかなり少数だと言われています。

ではなぜ現在も国内生産を続けることが出来ているのでしょうか?

もともと航空機部品の製造をしていた三ヶ島製作所は
常温で金型を用いて塑性加工をする「冷間鍛造」や、材料を硬くして耐摩耗性や引張強さ、疲労強度の向上を目的とする「熱処理」など、鍛造、プレスから切削、熱処理、バレル研磨、溶接、組立までを一貫して生産することが可能なのです。つまりペダルの軸(芯棒)、ベアリング、ベアリングのワンと玉押し、踏み面といったペダルを構成している「ほぼすべての部品を自社で作ることが出来る」ということが現在でも国内生産が可能な大きな理由なのです。

熱処理加工

三ヶ島製作所の沿革を教えてもらった後、初めに見ることが出来たのは熱処理加工の様子です。
※実際に稼働中の工場へお邪魔させていただいているので、工場側の稼働スケジュールに合わせて見学させていただきました。

ものすごく熱そうなこの炉の中に自動で部品が運ばれていきます。

炉で熱を加え(焼き入れ)、そこから少しずつ温度を下げていく(焼き戻し)ことで材料を硬くして、耐摩耗性や引張強さ、疲労強度の向上を目的とするのがこの熱処理です。
ペダルの肝ともいえる芯棒はもちろん、構造部品のワンや玉押しも熱処理を行ない精度や耐久性を高次元で徹底管理しているとのことでした。

三ヶ島ペタルの心臓部は「冷間鍛造」によってできている

さて次はペダルの芯棒ができる過程の説明を受けます。

もともとは少し大きめなチョークのような金属の棒(一番上)に加工を繰り返すことでペダルの芯棒へと姿を変えていきます(一番下)。
材料に熱を加えず、金型を用いて塑性加工をする「冷間鍛造」という技術で出来ているのですが、精度の高さと耐摩耗性が良くなることが特徴です。

金型や素材に大きな負担がかかるため、手間や高い技術、経験が必要とされる加工法ですが、三ヶ島製作所ではペダルの心臓部ともいえる「ペダル芯棒」は全て冷間鍛造生産を行っています。この技術によって回転性能が高く、耐久性に優れたペダルを実現しているのですね。ちなみに熱を加えて加工する方法のことは「熱間鍛造」と言います。

※塑性加工とは、加工できる材料に型を押しつけて目的とする形状をつくるもの。金属をはじめとする固体には、一定の力によって変形すると元に戻らない性質(塑性)がある点を利用した加工方法です。

シルバーに輝く三ヶ島ペタル

続いては研磨の工程です。販売店で手に取るシルバーのペダルは当然ピカピカに輝いているのですが、どうやってピカピカになっているのかというと御覧の通り研磨をされているからです。
振動バレル研磨機という機械の中にペダルのボディと赤茶色をした三角錐形状の石のようなものが入っており、細かな振動を繰り返しながら機械が動いています。こうすることで表面が研磨されていき、ピカピカになっていきます。正直これは驚いている参加者の方も多かったですね。

右が磨かれる前、左が磨かれた後です。

↑こちらが磨き前。

↑磨き後はこちら。

その差は一目瞭然ですね。

信頼を支える品質管理

さて、その後はペダルの回転試験、インパクト試験といったような品質管理をするための試験についても教えてもらいました。例えばインパクト試験というのは、ペダルそのものに外的な衝撃を加えた際に割れたり破損することが無いかどうかを検査しています。最近はシェアサイクルというような不特定多数の方が1台の自転車を使用する環境が増えてきました。実際に倒れたりケースが増えると想定されることから、この「インパクト試験」が重要視されているようです。それ以外にも一般的に定められているISOやJISといった基準よりも高い「三ヶ島製作所独自の基準」をクリアしていることも分かりました。

そして最後は各部品を組み合わせてペダルを組み付けていく工程です。

ここではNJSペダルの組み付けも見学することができました。

NJSと滑らかすぎる回転

日本の競輪は、厳しい基準をクリアし「NJS認定」を受けた部品しか使用することができないことになっています。競輪用自転車ペダルに認定されているのは現在、三ヶ島製作所のMKSペダルのみ。つまりすべてのプロ競輪選手の足元をMKSペダルが支えているということです。NJS認定の最高級品はひとつひとつ手で組みつけられ、100分の3mmまでの極薄スペーサーを使用して調整しており、極限の回転性能を実現しています。

参加者の皆さまもペダルの回転の滑らかさにはただただ笑ってしまうほど。
回していてあまりにも滑らかなのでニヤニヤしてしまいます。

最後は全員で記念撮影をして終了!

モノづくりの奥深さや三ヶ島製作所のこだわりが随所に垣間見ることが出来て非常に有意義な工場見学となりました。
ご参加いただいた皆様、三ヶ島製作所の皆様ありがとうございました。