THE BASE SHELF 本棚の一冊 「最速ヒルクライマー5人が教える ヒルクライムトレーニング 監修 ロード研究会」
THE BASEの本棚からスタッフのお気に入りを紹介する「THE BASE SHELF 本棚の一冊」。
今回は5名の国内トップヒルクライマーのトレーニング内容や考え方をまとめた「最速ヒルクライマー5人が教える ヒルクライムトレーニング 監修 ロード研究会」を スタッフ長野がご紹介します。
自転車ヒルクライムレースに参加したことのある方であれば、5人のうち1人ぐらいは名前をきいたことがあるのではないでしょうか? 本書ではそんな有名ヒルクライマーによる座談やトレーニングメニュー、テクニックが公開されています。
感想
“誰でもFTP5倍を目指せる”の見出しからツッコミどころ満載
本書序盤で繰り広げられている「最速ヒルクライマー座談」の中の見出しに“誰でもFTP5倍を目指せる”と言うものがある。
※FTPとは「Functional Threshold Power」の略。日本語では機能的作業閾値パワーなどと訳される。60分間維持できる平均ワット数と言われているが、平たく言えば「戦闘力」のようなもの。「ワット数=トルク×クランク回転数」であることから体重があるほど数値は高くなるので、それを体重で割ったものが一般的な指標として使われる。そのことをパワーウェイトレシオというがサイクリストはこれを「〇倍」と言う。つまり体重60kgの人のFTPが300wだとしたら「5倍」ということだ。 ちなみに富士ヒルでブロンズ獲得するには約3.3倍、シルバー獲得には約4.2倍が必要と言われている。
「とにかく練習ボリュームを増やせば5倍までいける。」「ほとんどの人が練習が足りない。」 と5人が揃って話をしているのだが、 最初は「いやぁそれはあなたたちだから出来たのであって…」と心の中でツッコまずにはいられない。
でも不思議と嫌な感じはなく、読み進めるほどに彼らの並大抵ではない努力や苦労を感じることが出来て妙な納得感を覚える。
私のような一般人からしたらフィクションに近いが、トップクラスのヒルクライマーたちの人間離れした座談内容は良い意味でぶっ飛んでいて単純に楽しい。 中盤から後半にかけては5名がそれぞれ、自分なりのトレーニングに対する考え方やトレーニングメニューについて言及している。
2019年初版ということで、「トレーニングとしてもう古いのでは?」と思う方もいらっしゃるかもしれないが、ベーシックなトレーニング内容から、5名それぞれの生活環境に合わせたトレーニングメニューの公開まで、一般サイクリストには参考になるような内容の方が多いだろう。 私自身も会社員として勤務しながら「どうやって練習時間を確保しようか」ということを毎年のように考えているが、良いヒントが得られたと感じている。
今年は自転車イベントの開催数も増え、コロナ禍以前の活気が戻りつつある。 ヒルクライムレースも多くの開催を予定しており、人気イベントはすぐにエントリーが埋まるほどだ。
そんなヒルクライムイベントに参加する方は参考程度に、そして多くのサイクリストにとってはモチベーションを上げるための1冊として是非手に取っていただきたい。
THE BASEでは、休憩、歓談時や修理などをお待ちいただいている際にお読みいただける自転車にまつわる書籍を店内の本棚に置いております。 ご来店の際に、どうぞお気軽にお読みください。