GPSサイコン プロダクトレビュー iGPSPORT「iGS800」
「この度サイクルコンピュータを買い換えました。」
2017年から約8年間使用していたGarmin Edge520からサイクルコンピュータを買い換えることとなった。買い換えの理由は「バッテリーの減りが速すぎる」ため。8年も経ったバッテリーはさすがに消耗しており、毎日充電が当たり前、さらに1日150kmほど走ったらバッテリーゼロ。長距離ライドではログが残らない恐怖との闘いだった。
またバッテリーは寒さに弱いのが通説。冬場は間違いなく100kmも持たずにバッテリーが無くなってしまうため、少しでもバッテリーの消耗を抑えようとGarminさんをポケットで温めるという元も子もない状況になっていた。
GaiminからiGP SPORTへ
ということで満を持して今回買い換えたのはiGP SPORTの「iGS800」というサイクルコンピュータだ。
今までのサイコン遍歴は「キャットアイ→ポラール→Garmin→Garmin」。ここ10年はGarminしか使ってこなかった訳だが、今回iGP SPORTに変えたのにはいくつか理由がある。
買い換えの理由はバッテリーの持ちが良いこと
先述の通り、買い換えに至った最も大きな理由がバッテリーということもあり、当然重要視していたのはバッテリーの持ちということになる。結論から言うとこれに関しては「大満足」!
今回選んだiGS800は50時間以上のロングバッテリーを謳っている。
Garmin Edge1040が約35時間駆動、バッテリー節約モードでは70時間駆動、Wahoo ELEMNT ROAMは17時間駆動と他社比較した場合でも50時間駆動というのは申し分ない数値だ。とはいえこれらの値はあくまで公表値。省エネモードやバックライトを消した場合など好条件での数値を出していることもあり、実際はいかがなものかと若干疑いを持ちつつも使ってみることにした。
その結果は週5自転車通勤(1日2時間、合計10時間)に週末ライドを加え(10時間)合計20時間の使用でバッテリー残量は約60%とほぼスペック通り。ただ今回初めて使ったということもあり、ナビ機能やバックライトの明るさ変更など、機能確認のためにかなり多くの動作をさせていたことを考慮するとかなり優秀なのではないだろうか。
※バックライトは明るさ「自動」+「夜間常時点灯」、GPSモードは「バランスの取れた」、音声はボタン音、アラートともに「オフ」、オードスリープとオートオフ機能は「ON」省エネモードは「OFF」というような設定で継続使用しているが、週末は軽くライドに行く程度、それ以外は週5日の通勤のみでの使用であれば2週間経ってもバッテリー残量は60%近く。おおよそ50時間という駆動時間は正しい。それよりもなによりも充電回数が劇的に減るというメリットはかなり大きいと感じた。
そもそもナビ不要派だけど。。。
各ブランドのハイエンド機と同様、このiGS800もかなり多くの機能を有している。その中の一つが「ナビ機能」。カーナビやスマホでのマップ機能が進化している中で、サイコンのナビ機能はそれに比べると「ちょっと。。」というイメージはないだろうか?
というそれほど期待していない状況で使用したiGS800のナビ機能は「まぁまぁ使える」だと思う。というのも私は目的地、主要道路、間違えてはいけない右左折ポイントなどは頭に入れておくタイプ。仮に道に迷ったとしてもスマホで調べて修正したら良いし、ナビがないと困るということが今までになかった、いわば「ナビ不要派」だからだ。
そんなナビ不要派の私が、ものは試しに使ってみた。結果、第一印象は思ったよりサクサク動くということ。
地図アプリのように主要建造物や目標物があるため直感的でわかりやすい。また目的地までの距離が分かるのはペースや時間配分を考えて走るときには有効なんだと再認識した。サイコン単体で地図上に目的地を設定してルート案内してくれるのはもちろん、スマートフォンのアプリ上でルート検索して出てきたルートを走ることも出来るし、自分で好きなルートを作成することももちろん可能。
一旦アプリを経由しなければならないのは多少手間だが、ライド中にスマホを持っている方の方が多いだろうし、作業自体もスマホの方が効率よいのでそれほどデメリットには感じなかった。
充電がUSB-C
もはや当たりまえではあるが充電端子がUSB-Cになったことはうれしい。
ライトやスマホなどUSB-Cに統一されることで自宅ではもちろんのこと、旅や遠征先での充電時に「あー配線忘れた!」なんてことが無くなるのは地味に大きなメリット。
画面が大きいのは正義なのかもしれない!
いままで使っていたGarmin Edge 520と比べると画面の大きさはほぼ2倍の3.5インチ&カラースクリーン。「ほとんどスマホ」とまでは言わないが、それでもかなり大きい。はじめは「大きすぎるだろ。。。」なんて思っていたがこれで正解。
40歳を過ぎて、スマホを毎日見ているとピント調節能力も衰えるのか、はたまた老眼が始まったのかいろいろな「見えにくい」ということが一つのストレスになってくるが、「大きくて見やすい」ということは非常に良いことだと感じる。特に走行中の一瞬で表示内容が理解できるというメリットは大きい。また画面は大きいがベゼルは狭いため本体はそこまで大きくないし、見た目も良い。メーカーも薄型・軽量デザインを謳っており実際の寸法は99㎜×60㎜×21㎜で重量は120g。
バックライトなども自動調整にしておくと昼夜の切り替えはもちろん、トンネルに入った瞬間にパッと背景色とバックライトの明るさが切り替わるため常に見やすくストレスはほとんどない。
タッチスクリーンと物理ボタン
馬鹿にされるかもしれないが初めてのタッチスクリーン(笑)。
iPhoneと比べると若干遅いのは否めないが、ほとんど気にならないレベルでサクサク動く。iGS800発売前のフラッグシップ機だったiGS630を使っているスタッフから言わせると「めっちゃ滑らかで動きが良い」らしい。新モデルの電化製品的性能が上がっているのは正常進化だろう。
嬉しさのあまり色々とポチポチしていたのだが、トレーニング中に何回か間違えてログを終了させてしまったことがあった。操作に慣れていないこともあるが、誤ってタッチしてしまいデータやログがうまく取れないのは避けたいところ。これに関しては物理ボタンが活きてくる。電源ボタン長押しをすると「タッチスクリーンオフ」のオンオフが選択できる。
オフにすると物理ボタンだけで動かすことができるのだが、夏場や雨が降った際は汗や水で滑ったりしてミスタッチが起きたり、また寒い時期はグローブで反応しないこともあると考えられるため物理ボタンでの操作は役に立つこと間違いなし。
ヒルクライム好きにはモチベーションが上がる機能
Garminにある「クライムプロ」と同様の機能もiGS800には入っている。簡単に説明するとルート上にあるヒルクライムポイントが近づくと頂上までの距離や残りの上昇量、勾配などが視覚的にもわかりやすく表示されるというもの。特に初めて登るヒルクライムポイントや峠などは残りの距離や勾配が分からないということが不安に繋がる。どこまで体力を温存したら良いか、あの先のカーブを曲がった後にさらに勾配が上がったらキツいなぁなど、身体面でも精神面でもあらかじめ情報が分かるということはメリットだと実際に使ってみて感じたことだった。
スタミナ機能は育てる機能?
さらにスタミナが数値で表示されるという機能も。100%から始まって、距離や強度、心拍数などによって徐々に減っていき、休憩すれば回復する。というようなこの機能。
ざっくり自分の疲労度がパッと見てわかるように表示されるのは面白い。ただし心拍計を使用していないと作動しないのがデメリット。また恐らく使用するほど正確性は上がっていくと思われるが、使い始めて日が浅いのであまり有効な指標には至っていない。今後使い続けることで精度が向上するのであればロングライド時などにはあると便利な機能なのかもしれない。ちなみに今朝乗り始めたら既にスタミナは54%だった。オリンピックのせいで寝不足だった影響だろうか。
シリコンカバーよれよれ問題
デメリットの一つが付属しているシリコンカバーだ。そもそも付属しているだけでありがたいと言えばそれまでだが、このシリコンカバー、柔らかいのは良いが本体とのフィット感がやや緩い。若干よれよれした感じで物理ボタンの押した感じがわかりにくかったり、せっかくの綺麗な筐体が見た目にももったいなかったり。。。
本体の保護、ボタンのクリック感、耐久性などカバーといってもその担う役割は多岐にわたるため、個人的にはもう少しだけ固めでピタッと接着している感がほしいと営業担当者さんには伝えた。
Stravaセグメント非連動問題
多くのサイクリストが活用していると思われるStrava。このStrava内でセグメントに★をつけておくと、走行中そのセグメント近づくと、自己ベストやStrava内でのフォロワーのタイムなどが表示される機能が他社サイクルコンピュータにはあるが、iGS800には現状その機能がない。
iGPSPORTのアプリ内でセグメントを設定することで表示することは出来るのだが、Stravaと直接の連動はしていないということ。ちょっとしたことだがこのあたりの機能もファームウェアアップデートで改善してほしい。※アプリ自体はStravaとの連動がもちろん可能。ライド終了後に自動的にStravaへのアクティビティ投稿などはできる。
アプリは直感的に使える
専用アプリ自体は違和感なく使える。各種設定やSNSのような相互フォローも可能。ログの閲覧など最低限の機能は有している。トレーニングをする方にとっても簡易的な管理は可能、さらにトレーニングピークスなどとも連携は可能なのでうまく活用すると良いだろう。
そしてお財布にやさしい
一番重要(?)なことを忘れていた。他社製品のハイエンドと性能面で比較してもほとんど見劣りする部分がないこのiGS800。価格は税込53,900円とライバル製品の半額に近い。この価格設定には驚いたがiGP SPORT製品は他のアイテムに関してもお値打ちなものが多い。正直今までは「安いなりの理由があるのだろう」と思っていたし、ログがしっかり安定して取れる、不具合が起きないといった基本性能の高さやバッテリーの持ち、そしてデザインなどからサイクルコンピュータを選んできたのだが、iGS800に関してはメーカーさんからサンプルをお借りして使用した段階で「これはアリ」だなと確信し実際に購入した。
恐るべき開発スピードとレスポンスの速さの秘密
なぜ購入に至ったのかというと実は次のような背景もある。
「iGPSPORTは中国の通信機器大手メーカーにいた技術者が作っている。彼らは通信機器や家電製品をものすごいスピード感で世に出してきた。もちろん技術力が高いのは当然で、それより何より課題に対する解決・改善に至るスピード感が半端じゃない。彼らからすると当たり前かもしれないが、そういった人たちが作っているから商品が出るたびに良いものになっていく。またファームウェアアップデートも頻繁に行われ、既存のアイテムを使っていてもアップデートのたびに機能が充実していく。」とiGP SPORTの営業担当者さんから話を伺った。iGS800からは明らかに競合他社製品を意識した製品作りになったとも。そう考えるとこのiGP SPORTは今後さらに良い商品が出てくるのでは?と期待させてくれるというのも購入に至った理由の一つ。
まとめ
買い換えた理由は以下の通り。
バッテリー持ちがよく、拡張性を含め、機能や見た目、使い勝手に不満がない。さらに他の機器やアプリとの連携も取れ、価格にも満足。今後の改善も見込める。
iGP SPORTでは心拍系やセンサー類、スマートウオッチにライトなど周辺パーツも充実してきている。今後のブランド成長にも期待しながらiGS800は継続して使用する。
質問や使い勝手など是非店舗スタッフまでお気軽にご相談ください。
iGS800 GPSサイクルコンピュータ
スクリーン:3.5インチカラースクリーン 解像度320x480
衛星:デュアルバンドGNSS AGPS対応
衛星測位システム:GPS、BEIDOU、GLONASS、GALILEO、QZSS、L1+L5デュアルバンド
製品サイズ:99x60x21㎜
製品重量:120g
メモリー:32GB
防水:IPX7
バッテリー:50時間以上
操作温度:-10℃~50℃
伝送および充電:USB Type-C(データ転送可能) 1.5A急速充電対応
センサー:加速度センサー、気圧計、光センサー、地磁気センサー、電量計
当店販売価格:¥53,900(税込) ¥49,000(税抜)
(TEXT&PHOTO スタッフ長野)