落車・事故時の初期対応セミナー
先日まで桜が咲いていたと思ったら、あっという間に5月も中旬ですね。 木々の緑は日に日に濃さを増し、まさに初夏と呼ぶにふさわしい日々が続いております。 皆さまも本格的にサイクリングやトレーニングで外を走る機会が増えてきたのではないでしょうか?
こんな気持ちの良い季節にサイクリングするのは本当に楽しいですが、道路で走行している以上、事故が起きないとも限りません。 車との接触や下り坂で転倒など、自分自身が事故をする場合もあれば、ライド仲間が事故に巻き込まれてしまうケースもあるかもしれません。
「そんなときあなたはどうしますか?」
正しい知識を持って対応や行動をすることで、自分だけでなく、仲間を守ることが出来るかも知れません。では正しい知識とは何なのか? 今回は、看護師兼現役実業団サイクリストの方に講師をお願いして「落車・事故時の初期対応セミナー」を開催いたしました。 今回はそのセミナー内容の一部をお伝えいたします。
今回のセミナー内容は大きく分けて3つ
- 事故に遭遇した際に最初にやること
- AEDと胸骨圧迫とは
- ケーススタディ(AEDと胸骨圧迫の体験)
①事故に遭遇した際に最初にやること 「ライド中、仲間が車に轢かれて倒れてしまった。まずは何をしますか?」という講師の問いかけからセミナースタートです。
参加者からは 「倒れてしまっている方を安全な場所に移動する。」 「頭を打っているかもしれないから、無理に動かさないようにする。」 など、まずは倒れてしまっている方への対応をするという答えが多く出てきました。
答えは…まずは自分の安全確保が第一優先。(self) どうしても倒れてしまった人、けがをした人へ意識が行きがちですが、二次被害を防ぐためにはまず自分自身の安全確保が重要です。
そして2番目に大事なのは周囲の安全確保です。(scene) 救命救助の際に危険な場所で行なっていた場合、それも二次被害を生む可能性があります。安全な場所を確保しましょう。
そして3番目にようやく怪我人への対応(survivor)となります。
自分(self)→現場(scene)→怪我人(survivor) 3つのSと順番が重要ということだけ覚えておきましょう。
②AEDと胸骨圧迫とは 昨今ではコンビニエンスストアや公共の施設ではあたりまえに設置されているAEDですが、このAEDとはいったい何なのか、そしてどう使うのか。 いざ使わなければならない状況になった時に果たして冷静に使うことが出来るのか。をイメージしながら学びます。
最近では学校や自動車教習所などでも使用方法について教わる機会があるようですが、すでにそんな機会を失している30代以上の皆さまのために少しだけ触れておきましょう。
今回のセミナーでわかったことは、AEDは非常に優秀で、ふたを開けた瞬間から音声ガイダンスが流れます。 その指示に従うことでほとんどの方は間違えずに使用することが出来るということです。
とは言え、目の前に血だらけの怪我人がいた場合でも、冷静に行動が出来るのか? そう考えたときに「怪我人を想定してAEDを使った経験(体験)」があるかないかは大きな差があると感じました。
胸骨圧迫について 私自身の遠い記憶では胸骨圧迫よりも「人工呼吸」や「心臓マッサージ」という言葉のイメージのほうが馴染み深かったのですが、感染症のリスク等から最近では人工呼吸はしなくてもよく、むしろ胸骨圧迫をどれだけ早い段階から開始することが出来るかが生存率に大きく関わっていることを知りました。
胸骨圧迫のポイントは3つ
- 1分間に100回のテンポでおこなうこと
- 疲れてきたら周りの人と交代しながら続けること
- 人工呼吸は感染症リスクがあるためしなくても良いこと
③ケーススタディ(AEDと胸骨圧迫の体験) 今回のセミナーでは実際の落車や事故を想定しながら、知識は座学で学び、実際の対応や行動については実技を行ないました。 最後は学んだことを総動員して「ケーススタディ」に対してロールプレイングをします。
状況:休日にチームの仲間と峠でヒルクライムの練習へ。登り終えて全員で峠を下っている途中、先頭の仲間が前転するような形で落車! 道路左側に倒れている。ヘルメットは割れ、脳震盪にて意識消失。鼻血はあったが頭部からの出血は無し、呼吸は正常とは言えず、反応も見られない。
ミッション:参加者全員で救助にあたりましょう!
参加者の皆さまで状況を考えて、何をするかを整理します。 そして参加者一人一人の役割分担を決めて、実際にロールプレイングを実施。
ロールプレイングに至るまでの数時間で参加者の皆さまの中にもある程度チーム感が出来上がってきていることもあり、非常に連携の取れた、そして真剣なロールプレイングが出来たと思います。
最後は緊急時のためにTHE BASEオリジナルのエマージェンシーカードの配布、さらにスマートフォンでのメディカルID設定を全員で行って終了となりました。 ※エマージェンシーカードは無料配布しておりますので来店の際にスタッフまでお声かけ下さい。
今回のセミナーで感じた事。まず一つ目は胸骨圧迫が思ったより難しいこと。そしてすごく疲れること。それゆえに事故発生直後にどれだけ多くの方に救助活動を手伝ってもらうかがすごく重要であることを知りました。
もうひとつ実際の事故現場での難しさは「誰が率先して指示を出すか」を決めることだと感じました。場合によっては一刻の猶予もない状況で、自分が率先して置かれた状況を把握し、最善の指示を出せるのかどうか。といったことを考える良い機会でもありました。
セミナー終了後は参加者全員でランチライド。さらに親睦を深めることになりました。 今後も定期的にセミナー実施を企画しておりますので興味がある方のご参加をお待ちしております。